rafsimonsredux

著書『Raf Simons Redux』には、

メンズウェアに対するラフ・シモンズのビジョンが記されている。

 

活動10周年を記念して2005年に出版されたこの本は、

現代の男性心理を考察するものだ。

また、ラフ・シモンズのデザインプロセスをうかがうこともできる一冊。

 

彼は過去と現在のユースカルチャーの反骨精神からインスピレーションを得て、

それを伝統とミックスさせ、モダンなオルタナティヴファッションを生み出している。

 

2000年春夏コレクションのあとにも、『Isolated Heroes(孤高のヒーローたち)』という、

写真家のデヴィッド・シムズとのコラボレーションによる写真集を出版している。

 

彼ら二人のモデルに関するビジョンは共通している。

二人とも通常のモデルではなく、世間に知られていないが、

それに代わる美しさを持つ人物をモデルとして使うのだ。

 

ラフ・シモンズはイギリスのファッション雑誌『i-D』の2001号2月号で、

スペシャルエディターを務めた。

 

2003年には、シカゴ現代美術館のフランチェスコ・ボナミとの共同監修で、

フィレンツェの見本市、ピッティ・イマジネ・ウォモで

「The Fourth Sex(4番目の性)」という展示会を行った。

 

また同じ年に、ベルギーのハッセルト市立ファッション博物館で、

「Guides by Heroes(ヒーローたちの導き)」という展覧会も監修している。

 

ラフ・シモンズのラディカルなビジョンの表現は、ファッションショーを中心としている。

ショーの舞台には、ファッションショーの顧客にはなじみの薄い場所が設定される。

例えば、工業用の車庫や、建物の屋上、大庭園などだ。

 

また、ファッション雑誌や広告写真で見かける型通りの男性性や個性を拒否する為に、

モデルにはパリやアントワープの路上でスカウトした素人を使う。

 

ラフ・シモンズが一般人をモデルに使うのは、

ファッション業界のシステムに取り込まれることを拒否する為だけでなく、

実際に服を着てくれる人に向けてデザインしたいという思いもある。

 

モデルたちと仲良くなり、コレクションに対する意見を聞いて、

それをデザインに反映させる。

特定の世代との間にコミュニケーション言語を成立させる為には、

実際に着る人をデザインプロセスに参加させ、考えを聞くことが欠かせないのだ。

 

ラフ・シモンズは単に売れる服を作ることよりも、

服をデザインする時に交わされる言葉やその意味の方が、

断然興味深いと考えている。

 

ラフ・シモンズのデザイン美学は、世界中で大きな影響力を誇っている。

彼は世界的なファッションプレスからも、

メンズウェアに革命を起こした功労者の一人と称された。

 

「その力強いコレクションは、

シモンズをメンズウェアのスターへと押し上げた。

だが、10年が経ち、37歳になった今でも、

彼のコレクションにはどこかうぶなところ、

開花しきらないセクシャリティ、

芽生えたばかりの男性性が感じられるのだ。」

 

スージー・メンケスは、

2005年の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙にこう書いている。

 

ラフ・シモンズの服は現在、

ヨーロッパ、日本、香港、台湾、アメリカ、ロシアのショップで販売されている。

 

ラフ・シモンズがデザインするメンズウェアは、

常にモダンで斬新なシルエットを備えている。

ネオプレンなどのテクノ素材を好んで用い、それをカットし、レイヤリングして、

コンテンポラリーな型を作り出しているのだ。

 

ラフ・シモンズは一見、サブカルチャーの要である

若さと攻撃性を備えたデザインにこだわっているように見える。

 

だが、彼の真の功績はラディカルなビジョンの表現にあり、

それこそがメンズウェアの発展を駆り立てているのだ。

 

「ラフ・シモンズの服は着るのが難しい」という声もよく聞く。

それは、ユースカルチャーを原動力にすることで、

どれも刺激的で、指向性を持った服になっているからなのだ。